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最近流行している「糖質制限ダイエット」などでよく耳にする「ケトン体」という言葉。

これを理解するためには、人間の体に備わっているエネルギー生成機構を詳しく理解する必要があります。

一つ一つみていきましょう。

ブドウ糖エンジンとケトン体エンジン

422737 / Pixabay

人間の体には二つのエンジンが搭載されています。

一つはブドウ糖エンジンでもう一つはケトン体エンジンです。

これらがエネルギーを生み出し、私達は手を動かしたり、頭で考えたり、また内蔵を機能させたりしているのです。

ブドウ糖エンジンはよく知られたエネルギー生成システムであり、「ブドウ糖は脳の唯一のエネルギー」であるという言葉にも表れている通り、脳に必要なエネルギーを送り込むシステムとしても知られています(本当は嘘です)。

そしてもう一つが最近注目されている、「ケトン体エンジン」です。こちらは脂肪代謝によるエネルギー生成メカニズムです。

ブドウ糖エンジンとは?

まずは一般的に知られたブドウ糖エンジンについて考えてみます。

全ての細胞は活動するためには「アデノシン三リン酸(Adenosine Triphoshate : ATP)」(以下ATP)という物質が必要です。

これを作り出すために、ブドウ糖(グルコース)が分解されるまでの過程を見てみましょう。

まず、口から炭水化物や糖類を摂取すると、小腸でブドウ糖(グルコース)にまで分解され吸収されます。

これが細胞内に取り込まれると、さらに分解され(解糖され)、ピルビン酸になります。

酸素が十分な状態では、ピルビン酸はミトコンドリア内に取り込まれ、酸素と結合したり二酸化炭素と水に分解されたりして、最終的にATPが作られます。これをTCA回路といいます。

一方、酸素が十分ではない状態では、細胞内でミトコンドリアに取り込まれること無く、乳酸まで分解されます。ここからATPが生産されます。これを嫌気性解糖といいます(「嫌気性」とは「酸素を利用しない」という意味でとらえて差し支えありません)。

TCA回路では、ブドウ糖一分子で32~36個のATP分子が生成されるのに対し、嫌気性解糖系では2個のATPしか生成されません。

ケトン体エンジンとは?

体内でブドウ糖が枯渇してしまうと、体は自動的に脂肪をエネルギーに変えようとします

このとき、肝臓が脂肪酸を燃焼し、ケトン体という物質を生成します。

「ブドウ糖は脳の唯一のエネルギー源である」といわれていますが、実はこのケトン体も脳のエネルギーとして使用されます。

脂肪酸のままでは、脳の関門(血液脳関門という)を通過することができません。なぜなら脂肪酸は脂溶性であり、血液に溶け込むことができないからです。

一方のケトン体は水溶性であり血液に溶け込むことができ、脳に送り込むことができるのです。

 

さて、このケトン体とは具体的には何のことなのでしょうか?

肝臓で脂肪酸が分解されていく様子を見てみます。

肝細胞の中で脂肪酸が分解されると、まずアセチルCoAという物質に変わります。

これが細胞内のミトコンドリアに取り込まれると、先ほどのブドウ糖エンジンにおけるTCA回路が動き始めてATPが生産されます。

しかし、体内のブドウ糖が極度に少ない状態では、TCA回路を動かすことができません(TCA回路を動かすのに必要なオキサロ酢酸が生産されないからです。オキサロ酢酸はブドウ糖の分解によって生成するピルビン酸から作られます)。

このとき、TCA回路に回せなかったアセチルCoAが肝臓内で、アセト酢酸、βヒドロキシ酪酸、アセトンに分解されます。

この3つをまとめてケトン体と呼んでいます。

アセトンは呼気によって体外に排出されますが、アセト酢酸とβヒドロキシ酪酸は、血液を伝って肝臓以外の臓器に運ばれ、その細胞内で再びアセチルCoAに戻されTCA回路によってATPを生産します。

ちなみにこのケトン体エンジンでは、一つの脂肪酸から結果的に130個ものATP分子を生み出します。

ブドウ糖エンジンのTCA回路の約4倍、嫌気性解糖の約60倍も効率よくエネルギーを生み出すのです。

しかも、脂肪を勝手に燃焼していくので、炭水化物や糖類を摂取しなければ、ケトン体エンジンが動きはじめ、勝手にダイエットが進行していくのです。

まさに未来のエンジン!

ブドウ糖エンジンは必要なのか?

condesign / Pixabay

脳がケトン体をエネルギーにできるのであれば、そもそもブドウ糖自体が必要なのか?という疑問が出てきます。

体に備わった糖新生というメカニズム

ケトン体をエネルギー源として利用できないのは、「赤血球」です。

赤血球は細胞内にミトコンドリアを持っていません。ミトコンドリアがないとケトン体をATPに変換することができないのです。したがって、赤血球はブドウ糖が唯一のエネルギー源です。

そして、ケトン体をエネルギー源として利用できないもう一つの臓器は、そのケトン体を生み出す「肝臓」です。

肝臓はケトン体を全身に送り込む役割をしているのですが、自分自身はケトン体をエネルギー源として利用しません。

ブドウ糖と脂肪酸を直接エネルギー源として利用します。

さて、こう書いてしまうと、ブドウ糖がないと赤血球は動かなくなるし、肝臓だって動きが鈍くなってしまいそうな印象をもってしまいます。

しかし、そうはならないように人間の体は、自らブドウ糖を作り出せるシステムを持っているのです。

それを「糖新性」といいます。

炭水化物や糖の摂取が絶たれ、血糖値が下がり始めると、血糖値を正常に戻そうとするため、たんぱく質、乳酸、ビルビン酸、グリセロール、中性脂肪を原料にして身体はブドウ糖を生み出し始めます

食事から摂取されたタンパク質が少ない場合は、筋肉が分解されていきます。

糖質制限などの食事制限で糖類の摂取を控えている場合は、しっかりとタンパク質と脂肪を摂取する必要があるのはそのためです。

しかし、これらは有史以来、人間の体がずっと行ってきたことです。むしろ糖質を摂取してブドウ糖エンジンを使用し始めた方が、人類の歴史ではまだ最近の話なのです。

したがって糖類を摂取する必要は全く無く、ブドウ糖エンジンを活発にさせる理由も全くありません。

胎児は全てケトン体エンジン

人間が本来、ケトン体エンジンのみで生きていたとする証拠に、お腹の中の胎児や産まれたばかりの赤ちゃんは100%ケトン体エンジンのみで生きていることが最近の研究で明らかになっています。

このことは、「ケトン体が人類を救う」という本に詳しく書いてあります。

ブドウ糖を餌にする細胞‐‐がん細胞

ブドウ糖しか餌にできないもう一つの細胞があります。

それががん細胞です。

癌細胞はブドウ糖だけをエネルギー源にして増殖していきます。

じゃあ、炭水化物や糖類の摂取を止めれば、癌は治るのか?と思われるかもしれません。

答えはイエスです。

糖類の摂取を止めれば、癌の餌がなくなるので癌細胞は増殖活動をすることができなくなります。

実際は、糖新性があるので、体内のブドウ糖をゼロにすることは難しいのですが、糖質摂取を限りなくゼロにした状態でビタミンCを注入すると癌細胞がブドウ糖と間違って取り込んでしまい、癌細胞が破壊されるという癌治療が最近注目されています。

ケトン体エンジンのメリット

ケトン体エンジンを普段のメインエンジンに変えると、体に様々な異変が起こります。

一つは、頭が冴える。

脂肪酸から作られるATPは、嫌気性解糖系から作られるATPの約60倍にもなるという話をしました。

ケトン体エンジンに変えると、脳にエネルギーがいきわたり、常に頭が冴えた状態になります。

退屈な会社の会議でもあなたの意見が際立ってくることでしょう。

もう一つは、勝手にダイエットが進行します。

ケトン体は脂肪酸を原料に作られます。そのため、体内の脂肪酸は次々にケトン体に変えられていくため、体内のし脂肪酸はどんどん無くなっていきます。

体の基礎代謝とケトン体代謝が平衡状態になると体重減少はおさまり、それがあなたにとって適正な体重ということになります。

ちなみに私は半年間で10キロ減量しました(74キロ→64キロ)。

おわりに

これまで、「脳の唯一のエネルギーは糖だ」と聞かされてきました。

しかし、それは人々を病気にして治療費や薬代でお金儲けをしたい医療権威の嘘だったのです。

糖が唯一のエネルギーであるどころか、人間は本来ケトン体エンジンで動く生き物なのです。

そのことを理解することが、砂糖断ちにも繋がります。

ぜひ、ケトン体エンジンを稼動させて健康な体を持ってください。

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