LINEで送る
Pocket

image

現代を生きる私たちがどのようなものを食べていけばよいのか、何を食べてはいけないのか、それを調べた知る人ぞ知る書物があります。

アメリカのプライス博士が著した「食生活と身体の退化」です。

プライス博士は世界中の近代文明から孤立した集団や先住民族の食生活を10年にわたって調べ、この本を1939年に出版しました。

日本では大阪府の歯科医師、片山恒夫先生が1978年に翻訳され自費出版されました。

ここには多くの写真と共に、先住民族のすばらしい健康体と健康な歯についての記述があり、非常に客観的なデータにより人間が何を食べ、何を食べるべきでないのかを示しています。

小さなお子さんを持つお父さんや、これから子どもを作ろうとする夫婦にぜひ読んで頂きたい本です。

先住民族のイメージと実態

先住民族の健康

先住民族と聞いて、みなさんはどのようなイメージをもつでしょうか?

たとえばアフリカのマサイ族は、飛びぬけた身体能力を持つことで知られています。またアラスカのイヌイットは極寒の地においても寒さをしのいで子孫を繁栄し続けています。

我々とは少し異なる身体を持っているのだろうと思う反面、現代医学の恩恵を受けることができないから一度病気になると生存できる確率はとても低いのではないかと考えてしまわないでしょうか?

実は、全くそんなことはありません。

近代的な文化と接触を持たない先住民族は完璧なまでに健康な体をもち、糖尿病や肥満・腰痛などの現代習慣病はおろか、癌や心臓病で死ぬ人もいません。また子ども達も風邪をひいたりすることもなく、奇形児も存在しません。万年雪が存在するようなスイスの山奥でも、子ども達は裸足で駆け回り、遊んでいるのです。

女性の妊娠・出産もさぞ大変だろうとイメージしてしまいがちですが、ある先住民族の出産では女性がひとりで茂みに入り、子供を産んで抱えて出てくるのだそうです。誰の手も借りずに健康な赤ちゃんを出産するのです。

先住民族に難産という言葉はありません。

先住民族は現代人と比べ単に健康というだけでなく、体力にも相当な差があったことが読み取れます。

先住民族の歯

プライス博士は、世界中を旅しのべ14カ国数百に及ぶ地域に足を運び、伝統的な食生活を行う先住民族の歯を調査しました。

その結果わかったことは、

  1. 伝統的な食生活を続ける民族では虫歯は皆無であったこと。
  2. 近代的な食事(精白された小麦粉、缶詰、ジャムなど)を摂取し始めると虫歯の罹患率が上昇すること。
  3. そしてそのような食事を続けるとその民族の存続に関わるほど大きな影響力をもつこと。
  4. しかし、近代的な食事を止めて再び伝統的な食事に戻すと虫歯の進行も止まること。

でした。

プライス博士が示す「近代的な食事」とは、まさに現代の我々が普段口にしている食材を示しています。特に、精白された米、小麦粉、砂糖、植物油などです。

そして、近代的な食事を取り入れた民族や孤立集団では、子ども達の病気が蔓延し、子ども達の顔も細く長く伸びる傾向があります。また、口でしか呼吸のできない子ども達も増えてきます。

虫歯は歯だけの問題ではなく、全身の健康状態を示す指標なのです。虫歯が存在することは全身の栄養状態に問題があることを示しているのです。虫歯が蔓延する民族では、子どもの奇形が増え、女性の不妊が増え、まさに民族の存続に関わる問題にまで発展します。

ちなみに、日本人の虫歯の罹患率は90%以上です。どんなに立派な歯ブラシで歯磨きを徹底しても、歯磨きという作業さえしない先住民族には勝てないのです。

そしてこの日本で、現在、人口減少という問題が事実進行しています。

虫歯と人口

この二語だけで、我々の食生活を改める必要があることは一目瞭然です。

プライス博士が調べた先住民族の食生活

動物性たんぱく質の重要性

プライス博士は先住民族が普段どんなものを食べているのかまで調査しました。

海に近いところに住む民族は、魚介類を主とした食料を食べ、内陸ではその地にすむ動物を食料にして食べており、いずれも動物性たんぱく質を主体とした食生活を行っていました。またそれ以外に、野菜や全粒の穀物、牛乳やバターなどの乳製品を加えて栄養を補完していました。

重要なのは、動物性たんぱく質を一切とらずに、野菜や穀物のみで生きながらえた民族は存在しないということです。つまり、日本で一時期流行した菜食玄米やマクロビオティック、ヴェジタリアン、ヴィーガンで長く繁栄した民族は世界のどこにも存在しないということです。

仮に誰かが玄米菜食の方法で健康になったとしても、その人にとっての健康法であって、民族全体に適応すべき方法ではないということです。

プライス博士が調査したなかで、唯一穀物を主とした食生活を行っている部族が、アフリカ・イルムのニャンクンデ布教区に住むバヘマ族、バビラ族、アルール族、バレンドウ族です。

このうちバヘマ族だけがわずかに子牛を飼っていましたが、その他の部族ではそのような家畜は存在しませんでした。

これらの穀物を主体とした食生活を行っている部族では、虫歯の罹患率が38.7%、別の地域に住む同じ部族でもやはり50.8%、53%、15.4%と、他の民族(1%程度)に比べてずば抜けて高いことも明らかになっています。

プライス博士が示した結果は、人間は穀物や野菜だけでは生きてはいけない生物だということなのです。

妊娠前の女性に与えられた特別食

多くの先住民族では、結婚前の女性には特別な食事が与えられ、元気な子どもが生まれるように体の準備を整えます。なかには男性にもそのような食事が与えられる民族も存在します。

期間はおよそ6ヶ月程度であり、民族によってその食事内容は異なるものの、驚くことに摂取している栄養素は共通していたのでした。それはビタミンAと鉄分です。

これは非常に理にかなった食事であり、このような食事を適切に与えることによって、適切な時期に健康な子どもが生まれるように民族の繁栄をコントロールしているのです。

また一人目の子どもを産んでから、二人目の子どもを産むまでの間隔も、しっかりとコントロールされ、部族によっても異なりますが、2年半から4年くらいの間隔を空けることが重要であるといわれています。実際にこの期間に、出産によって失われた鉄分などの栄養をもう一度取得する必要があるのです。

このようにして、先住民族では、部族の繁栄と人口コントロールがしっかりと行われており、かつ健康な子どもが生まれてくるように子どもを妊娠するずっと前から食事によって準備を始めるのです。

突然自分の都合だけで妊娠する現代人とは全く異なる考え方を持っています。

我々が先住民族から学ぶこと

私達はあまりにも容易に食物を入手できるようになってしまいました。

それは「便利になった」と言うこともできますが、それ以上に食べてはいけないものを容易に取得できるようになってしまったのです。

内陸に住む先住民族がどうしても足りない栄養素を補完するために、2ヶ月かけて山を下り海に出て漁を行い、それを持って再び内陸に戻っていきます。プライス博士はこうした食を得るための苦労を現代人が取らないことを強調します。

私達は便利な世の中を生きている分、本当に食べなければいけないものを見つけることが大変になってきています。

しかし、先住民族はそれ以上に大変な思いをして、本当に食べなければいけないものを捜し求めて、部族を滅ばせないように努力してきたのです。

「小麦粉を食べてはいけない」「白米を食べてはいけない」「砂糖を摂取してはいけない」などというと

「じゃあ何を食べればいいんだ!」

という話になってしまいますが、まさにここから本当に食べなければならないものを捜し出す努力をしないといけないということが、先住民族が、そしてプライス博士が教えてくれていることだと思います。

それは決してコンビニエンスストアで買える物ではありませんし、スーパーで買える物でもないでしょう。自分自らの足でその場に行き、自分の目で確認して、自分の手で触って確認する必要があるでしょう。

それくらい本物の食を求めるというのは大変なことなのです。

さいごに

先住民族には何万人となるような大きな部族においても、犯罪者は存在しません。

プライス博士は現代の犯罪者と歯、特に歯並びやあごの発達について調査し、それらが栄養不足によって起こることを示しています。

また、プライス博士は訪れた現地の子ども達、特に乳児達が、お腹を減らしていたり、よそ者を見て怖がったりする以外に泣いているのを見たことがないと度々書いています。

このことは何を示しているのでしょうか?実は先住民族には「イヤイヤ期」が存在しないのです。

このことについては別途記事を書きたいと思います。